IFA業界への再挑戦〜保険だけでは成し遂げられない老後1億円に向けて〜
これまでのご経歴を教えてください。
父親がトヨタの車を販売していたこともあり、車の営業はイメージがつきやすかったため福岡トヨペットへ入社しました。ある時、知り合いにプルデンシャル生命保険の方を紹介され、保険の営業を受けたんです。それをきっかけに金融の世界に興味を持つようになり、24歳の時にプルデンシャル生命保険に転職しました。保険業界は今年で10年目になります。転職後、運用の勉強をしていくなかで、お金を増やすことに関して言えば最良の選択肢は保険ではないと思うようになりました。そこからさらに勉強して、代理店に出て、保険の販売をしながら自分の会社でIFAをやっています。
保険業界に惹かれた理由は何だったのですか?
プルデンシャル生命保険の方と出会ったことが大きいです。正直に言うと当時は独身でしたし、自分自身も保険の必要性をそこまで感じていませんでした。そんな中、ばりばり仕事をしてお金も稼いでいる、その姿がかっこよく見えたことが保険業界に入ったきっかけとしては1番でしたね。
実際にプルデンシャル生命保険に入られていかがでしたか?
結果から言うと全くうまくいきませんでした。自分自身の営業スキルや人脈もなかったこと、何より自分自身が本当に保険が必要だと思っていなかったから売れなかったのだと思います。27歳で結婚したのですが、家族を持つことで価値観や考え方が変わり、そこから保険の仕事って素晴らしいなと実感するようになりました。
保険だけでは資産運用が難しいと思った具体的な出来事はありますか?
プルデンシャル生命保険にいた時、生命保険を活用して資産形成をしましょうという話をしていました。老後の資金として生命保険で3,000万円貯めましょうと。そのためには20代、30代だと毎月6〜7万円積み立てなければなりません。いきなり老後のために毎月7万円積み立てしましょうと言われても、現実的に厳しいですよね。それを後輩に指摘された時、当時僕自身も積み立てをしていなかったこともあり、言っていることとやっていることが矛盾しているなと違和感を持つようになりました。
そこから保険だけでは無理だと感じ、資産運用の勉強を始めました。すると、毎月2万円から3万円程度の積立金額で20年から30年程の時間をかければ3,000万円、4,000万円と余裕で資産形成ができるということがわかり、運用の必要性を感じました。ただ、プルデンシャル生命保険ではそういった商品がなかったので、退職して代理店でIFAを始めました。
IFAとしての活動を始めてみていかがでしたか?
実は本格的にやり始めて2年程なんです。ただ一番最初にIFAをやったのは、27歳の時だったので6年前ぐらいです。その時は登録をしただけで、手数料があまりにも低くて心が折れてしまいました。2年ぐらい前から再度勉強をしていくうえで自信がついた事とお客様の立場で考えるとIFAとしてサポートした方が喜ばれると確信がつき、本格的にIFAの活動を始めた経緯があります。
初めて参入する時は、みなさんIFAに対してよいイメージを持っていると思います。しかし、手数料が低すぎるゆえに、そのイメージとのギャップを感じるかもしれません。
カフェなどで商談をするのですが、報酬よりコーヒー代の方が高かったりします。つまり、人と会えば会うほど赤字になるんです。その恐怖心に耐えきれなくて、心が折れました。報酬が低いことはわかっていても、いざ報酬が振り込まれたとき、これは無理だと思ってしまう。同じ金額でも貯蓄性の生命保険を売れば数十万入ってくるはずなのに。その赤字を貯蓄性の生命保険以外で埋めていかないといけないので、はじめは結構プレッシャーを感じます。
IFAになってよかったと思うところはありますか?
まず第一にお客様の役に立っているという実感がすごく強いです。あとは、紹介がとても増えることです。保険の時は結構ガツガツ行くような紹介でお客様との関係が悪くなることもありましたが、今はとても自然に紹介が広がっていく感じですね。
IFAになって資産運用、資産形成の話をすると、みなさん興味があることだしお金が増えて嫌という人はいないと再認識しています。ジュニアNISAの紹介や教育資金の話、あとは老後の退職金の運用など様々なニーズがあるので自然に紹介の輪が広がっていく感覚です。やっていてよかったなと思いますし、楽しいです。
営業中に大事にしていることや、お客様と出会う流れを教えてください。
お客様に最も理解していただきたいことは考え方です。保険で運用を行うのか、運用は運用で行い、保険は掛け捨てでもつのかという違いだけですが、分けて考えていくことを理解してもらえればと思っています。
生命保険での運用がいいものだと思って入ったお客様に、一から十まで細かく手数料のことや運用のことを話すと驚かれ、生命保険での運用に対して正しく理解されていない方が多いです。保険を使い運用していくのと、投資をしながら運用するのとでは、10年くらいだと貯まるお金は変わらないけれど、年月がたつほど1,000万円、多ければ2,000万円、3,000万円と増えるお金が変わっていきます。払っているお金は変わらないのに、将来貯まるお金が大きく変わってくるわけです。減りはしないけれども、増える機会を逃していると。目先のお金ではなくて、人生が変わるから将来のお金を取りに行こうという話をお客様にしています。
お客様と出会う流れとしては、知り合いから紹介をもらうことが大半です。紹介を依頼はするけれど、逆に僕を紹介しないと周りの人から恨まれますよ、紹介しないという選択肢はないですよというスタンスです。今ではなくて10年後、20年後、30年後に関係性が変わるとお伝えします。僕の場合、本当に大切な人の役に立ちたいという思いだけです。自分が扱っている商品がとてもよいとわかっているし、お客様の役に立てると思っています。
保険代理店がIFAに進出されないのはなぜでしょうか?
手数料が激減するからだと思います。具体的な話をすると、貯蓄性の生命保険で毎月の保険料が3万円の契約が成立すると大体30万円ほど報酬をもらえます。それを投資信託で、月3万円の積み立て契約がとれると、1年間の報酬を計算すると5,000円ぐらいになり、報酬が60倍変わります。そのため、そもそも比較対象にもならず扱おうとしない人が多いです。ですが、勉強をすればするほどお客様にとっては投資信託の方がよいということが分かるようになります。投資信託の方がよいとは分かるけれど、自分の生活があるので、いかに貯蓄性の生命保険を売るかというトークを考えはじめます。
弊社のメンバーは、そもそも貯蓄性の生命保険はお客様の資産形成には効果的ではないという共通認識があります。全員、投資信託で資産形成をするというスタンスです。
今後の金融業界はどうなると思われますか?
業界自体が完全に成熟してしまっているので、金融業界は特に変わらないと思います。
ただ、営業マンよりもお客様が変わってきたと思っています。お客様がYouTubeなど、スマホひとつで勉強して金融の知識を得ているなと実感することが多いです。NISAなどを当たり前のように知っていたり、インデックスファンドのことも知っているんです。
知識があっても、周りにやってる人が少ないということもあり行動していない方が多いので、僕は正しい知識をきちんと伝え、背中を押す係になることができればと思っています。
会社としての今後のビジョンを教えてください。
老後、1億円持っている人を世の中により多く輩出することです。それができればもちろんその人も幸せですし、1億円があることにより消費も生まれ、経済的にもプラスになると思っています。そういった考え方でやっているので、特に20代や30代の方に、老後までに1億円を貯めていこうという話をしています。
老後2,000万円問題と言われていましたが、正しい知識を持っている人からすると2,000万円は誰でも貯めることは簡単な感覚です。自分の会社に所属しているメンバーのお客様が、全員1億円を老後に作ることができれば、自ずと会社の預かり資産も増えていくので、いい結果になると思います。
絶対に1億円でないといけない理由はないのですが、1億円というワードにお客様はとてもワクワクしてくれます。僕たちの話を聞いて、正しく資産形成を行えば人生が前向きになると思っていますし思った以上に大きなお金でなくても運用できるので、今使えるお金が増える。だからこそ、今も楽しんでほしいし将来はもっと楽しんでほしいということをお伝えしています。
保険出身者がIFAに挑戦する人へアドバイスをお願いします。
保険営業とIFAの営業は仕組みが違うだけで、実際はハードル自体は高くないんです。保険の営業マンは貯蓄性の生命保険を中心に売っているけれども、貯蓄性の生命保険の中身は言ってしまえば運用なので、運用の話はある程度できると思います。長期分散積み立ては、端的な売買ではなくて10年、20年と期間をかけてしっかりと増やしていくということです。その話が、貯蓄性の生命保険ではなく投資信託になるだけです。
ハードルになるのは、やはり手数料です。僕が思うに、どちらかと言うと保険の営業マンが変わるよりもお客様が変わる方が先だと思っています。
経歴
株式会社Payforward
代表取締役 八頭司 学様
2005年〜2008年 佐賀県立佐賀商業高校
2008年〜2012年 九州産業大学 商学部
2012年〜2013年 福岡トヨペット(トヨタ車営業)
2013年〜2017年 プルデンシャル生命保険株式会社
2017年〜現在 総合保険代理店 在籍中
2020年〜現在 株式会社Payforward 創業