ヘッジファンドとは?~メリット・デメリットを解説~
ヘッジファンドとは?
ヘッジファンドとは、株や債券に限らず、あらゆる金融投資を試みるオルタナティブ投資ファンドの一つであり、市場の大きな変動に対するリスクをヘッジ(避ける)しながら、リターンを目指すファンドのことです。
ヘッジファンドには、金融派生商品(デリバティブ)を活用して高い利益を狙うものや、ロング・ショート運用のように売りと買いを両建てにして「絶対利益」を狙うものなど、様々な運用手法のファンドがあります。
ヘッジファンドは世界の市場で1万5千本くらいのファンド数があり、4兆ドルを超える運用残高があります。ヘッジファンドとよく似た特徴を持つ商品として投資信託がありますが、日本の株式投資信託の運用残高は約145兆円程度です。日本ではヘッジファンドは投資信託よりも後に出てきた投資商品のように見られがちですが、実は、1949年にアルフレッド・ウィンスロー・ジョーンズ氏がヘッジファンドという言葉を使って運用を行ったのが始まりであり、70年以上もの歴史がある投資商品です。
過去には、ヘッジファンドの破綻が市場を動揺させたこともあったため、現在では種々の規制が整備されています。
日本の投資信託は、1951年に証券投資信託法という法律が出来ました。10兆円の残高になったのは1983年です。
ヘッジファンドと投資信託の違い
日本ではヘッジファンドと投資信託の違いは、投資家の勧誘の方法にあり、投資信託は不特定多数の投資家に対して勧誘を行う「公募」であるのに対して、ヘッジファンドは少数(50人未満)の投資家や適格機関投資家のみを相手する「私募」の形式をとります。
ヘッジファンドが私募の形式をとる理由としては、公募の場合、主に個人投資家を対象とするため金融商品取引法上の規制が多く、目論見書や有価証券報告書などを発行する義務がある一方で、私募の場合は機関投資家などの専門的な知識を持つ投資家を対象とするため、同法上の制限が多くないため、ファンドは自由に投資戦略を設定できるからです。また、ファンドにとって、組み入れている銘柄を公開するということは、ファンドのリターンの源泉を明かすということになりリスクにもなりかねないため、情報の公開には非常に慎重です。
ヘッジファンドのメリット
市場の上げ下げするリスクを抑えて安定的なリターンを目指すのがヘッジファンドです。そのため、株式投資において株式や株式投資信託は株価が大きく下がれば元本割れとなりますが、ヘッジファンドは市場がダウントレンドの時にも利益を追求するため、資産のリスク管理に役立つというのが、一つ目のメリットとなります。
また、運用のプロであるファンドマネージャーに運用を任せることができるということもメリットです。ファンドマネージャーの報酬には成功報酬も含まれるので、収益が出来るように運用するのは当たり前であり、このようなプロにお金を預けることができるのは大きなメリットとなります。
ヘッジファンドのデメリット
ヘッジファンドのデメリットとしては、一般に情報が開示されないという点で不安に感じてしまう点が挙げられます。ヘッジファンドと投資信託との違いでも記載した通り、ヘッジファンドは投資対象やその割合が公開されないケースが多いため、判断材料が少なくなってしまいがちです。 また、他の投資信託と比較して、コストが高いという点もあります。ヘッジファンドは利益を追い求めるため、その分手数料(信託報酬)が高くなります。信託報酬の内訳としては運用手数料と運用報酬があり、運用手数料は運用資産に応じてかかるコストを負担するものであり、運用報酬は運用成績でプラスになった分に応じて支払うもので、運用者への成功報酬ということになります。但し、運用手数料が低いからいいというものでもありません。日本では信託報酬の引き下げ圧力は強いですが、運用成果がマイナスでは結局お客様の利益にはなりません。
流動性が低いということもヘッジファンドのデメリットの一つです。投資家が自由に換金できるようにしてしまうと、ヘッジファンドの魅力である柔軟な運用ができなくなるので、解約タイミングが制約されています。その為、ヘッジファンドは短期や中期で投資できる商品では無く、数年以上の長期で投資をすることを前提に購入する金融商品です。
どんなに運用成績が良くても投資したいときに投資できないこともデメリットです。ヘッジファンドは私募による勧誘ですが、そもそも運用成績がいいファンドは投資家を集める必要はありません。投資家の方から「投資をしたい」とファンド側に意向を確認しないと投資できません。また、投資金額の制限やクローズしているものも多くあります。
IFAにとってのヘッジファンド
欧米のIFAにとっては、有名なファンドにアクセスできるということは一種のステータスです。規制が多くはないといっても、ヘッジファンドも国際的な金融機構の組織化に置かれているため、マネーロンダリングなどのリスクのある資金を預かることを避け、基本的には投資家サイドからのアクセスを限定しています。そのため、IFAにとってヘッジファンドにアクセスできるということは価値であり、そこでIFAの力量がはかられるとも言われます。
日本においては、もっと少ないアクセスルートをどのように開拓するのかということがIFAにとっての重要な課題となりますが、お客様に対してヘッジファンドを紹介できるということは大きな武器になるはずです。