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インタビュー

銀行員からIFAへ〜日本金融業界の変化を体験してきたベテランの引退後の選択〜

INDEX目次

これまでのご経歴を教えてください。

大学卒業後、1981年に銀行に入行し、退職まで実質的に同じ銀行で42年間勤務してきました。恐らく最後の終身雇用世代ではないでしょうか。 その間に固定金利から金利の自由化が行われたり、為替が国際化されたり、貴重な業界の変化を体験させていただきました。業務としては、個人営業や法人営業、時には外資系証券でプライベートバンカーとして活動したり、富裕層向けのストラテジーの立案や提案資料の審査なども経験しました。銀行内で経験できる個人顧客接点の業務について幅広く経験をさせていただきました。

様々な経験をされた中で、IFAに興味を持ったきっかけをお願いします。

外資系証券会社への出向がきっかけになったかと思います。 そこでは、担当者は自分自身の考えで、お客様に合う金融商品を販売していました。当時はヘッジファンドが会社の主流の販売商品でしたが、個人の考えから債券のみを販売している担当者もいました。また、担当者の収入は販売実績に完全比例する給与体系でした。会社員でありながらも、会社の方針に左右されず、個人事業主のように働く働き方もあるのだという気付きがIFAに興味を持つようになったきっかけです。

色々な選択肢があったかと思いますが、他にはどんな選択肢がありましたか?

退職前の外資系証券会社の出向時代、お客様に金融商品の販売を行う一方で、目の前のお客様は金融知識が不十分であったり、提案や商品は金融機関側の販売サイドに片寄ったものが多かったりという、金融業界の改善点の様なものを感じていました。 その為、退職後は金融機関側の販売サイドではなく、中立的な立場からの金融知識の普及とお客様ご自身の価値観に合う金融商品提供の2つを中心に活動したいと思っていました。 その場合、前者の金融知識の普及については、CFPや証券アナリスト、国際公認投資アナリストという資格や知識でも可能ですが、後者のお客様の価値観に沿った金融商品の提供についてはIFAやRIAの立場がないと実現できません。 そして、IFAはRIAとは異なり、お客様に対して包括的な金融商品の販売・運用実績フォロー・ポートフォリオ入れ替え・パフォーマンス評価まで、お客様の最適な金融資産運用に一貫して携われることができるという理由でIFAを選択しました。

日本の金融業界の変化をどのように感じていますか?また、最終的にIFAを選んだ理由にも関係しているのでしょうか?

銀行員として、私たちが働きだした当初よりも、国が貧しくなってきていると感じています。当時は「退職金、年金、勤務先の持株」この3つがあれば老後の心配もいらないなと感じていました。近年は、退職金は減っていますし、社会保険料も高くなっていることで、個人の負担がかなり大きいです。年金に頼っている場合ではないというのが今の世の中ですよね。その一方で所得倍増計画も発表されるなど、個人としても資産運用のニーズは高まってくるのではないでしょうか。

所属先を決める際に重要視していたポイントをお願いします。

大きく分けると3つあります。
1つ目が1番重要なのですが、自由に働けることです。お客様に提供する商品選択はもちろん、出社の義務などについても自由度の高さは最優先事項でした。
2つ目は商品ラインナップが多いかどうかですね。お客様に提案を行うにしてもラインナップが多くて困ることはありません。むしろお客様が必要なものを提供できるという面では非常に重要だと思います。また、各コンテンツがオンラインで受講可能なサポート体制がある企業を選択しました。
3つ目は在籍料などコストですね。私の場合、お客様へ最良の提案をする為にも、できる限りコストは抑えたいと思っていました。

今後、どのような活動をお考えでしょうか。

先程もお話しましたように、「金融知識の普及」と「お客様それぞれの価値観に合う金融商品の提供」の2つをテーマに活動していこうと考えています。日本の金融知識は、アメリカなどに比べるとまだまだ低いと感じられるので、マーケット論やファイナンス論など、知識の向上を目指したセミナーと、資産運用に興味があり、運用を始めたい方向けのセミナーを実施していきたいと思っています。どんな方とお会いしてもより良い提案ができるように、自分自身の知識は随時アップデートしていきたいと考えています。

リテール営業の回転売買や仕組債の扱いについてのモラルがよく議論されていますが、IFAとして収益を得る上でどんなモデルが理想だと考えていますか?

お客様が手数料を支払う価値があると感じられる提案、販売をすることが重要だと考えています。
手数料は安いほど良い、という考え方もありますが、事業としての継続性を考えた場合には利益は必要であり、その源泉となる手数料も安ければ良いということではないと思います。もし、設定した手数料で事業が継続しないのであれば、それは社会から求めらていないということであり、その場合には手数料ではなく、やり方を変えていく必要があるのではないでしょうか。

今後のIFA業界はどのように変化していくと予想されますか?

日本の金融はアメリカに比べ、かなり遅れているとよく耳にしますが、アメリカに追いつくのは、意外と速いのではないでしょうか。金融庁のレポート等を拝見しましたが、金融経済教育機構が動き出しています。こちらの機構はイギリスの反省を元に設立されたそうです。イギリスの反省とはアドバイザーの収益がコミッションに偏ったことで、中間層への資産運用の提案者が少なくなった事象のことです。この事象が日本で起こらないように、こちらの機構が設立されました。こちらの機構が今後、中立的な活動を行う企業や個人のアドバイザーを認定して、サポートや支援を行っていくのではないでしょうか。施策次第ではありますが、IFAが認定されるのであれば、追い風になるのではないかと予測しています。