インタビュー

日本の金融市場を変える存在を目指して

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金融業界での創業の経緯と背景

私が証券会社のリテール営業をしていた頃は、収益至上主義という雰囲気があり、お客様本位ではないなと思うこともよくありました。それに加えて、商品別のノルマがとても厳しくなった時だったので、お客様にニーズがなくてもその商品を販売しないといけないという社内の空気感に違和感を感じてはいましたが、やりがいを感じる機会も多くあり業務に励んでおりました。

そのような時期に、社内の留学制度で滞在していたシリコンバレーで多くの起業家と話す機会に恵まれたこともあり、日本の金融業界に対する課題感をさらに強く思うようになりました。彼らは世界を動かそうと本気で仕事に取り組んでいる一方で、日本の金融業界で現場の社員が行っている仕事のレベルや目線が低すぎるのではないかと。金融が包摂する機能は日本経済にとって間違いなく重要なものであるにもかかわらず、です。

帰国をして再びリテール営業を経験した後、香港の機関投資家営業に配属される機会に恵まれましたが、そこでさらに日本のリテール営業と海外の機関投資家営業のレベルの差を痛感することになりました。

当時、アジアの市場が伸びていたので香港にも世界中から優秀な人材が集まっていました。世界的な有名大学を卒業してMBAも取得しているような20代半ばの優秀な人たちが毎日早朝から遅くまでハードワークしているのを目にし、そこに受託者責任というか、顧客の資金を預かる人間のあるべき責任感を見た気がしました。そして、金融という仕事は、誰でもできる仕事ではなく、「高い倫理観と専門性があって、初めて人のお金を預かることができる」という当たり前のことに改めて気付かされました。

一方日本のリテール金融の現状は、それとは真逆の状態にあるような気がして、そのギャップを埋めたいという思いから、独立を決意しました。

他にも手段が考えられる中で、なぜIFAビジネスを選択したのですか?

香港に行く前から同期がIFAに転身したりしていたのでIFAについては知っていましたが、当時は「そういうビジネスがあるんだな」という程度の感覚で、そこまで注目はしていなかった気がします。
しかし、いざ起業を考えたときに、最初は証券会社を作るなどの選択肢もありましたが、どう考えてもIFAが最小のコストで高い収益性を出すことができるビジネスに思えました。日本のリテール金融業界を変革していくために、その第一歩として、IFAビジネスを選択しました。

IFAビジネスを始める前と後でギャップやお考えの変化などありますか?

起業前から色々な方とお話はしていたので大きなギャップを感じたことはありませんが、業界として“経営者”という感じの人が少ないなという印象はあります。
私も含め多くの経営者が営業マンですし、“親方”みたいな人が多いのではないでしょうか。大きいビジョンを描いて経営しています、という経営者は希少ではないかと思います。 また、本気でお客様のために働きたいと思っているIFAもいる一方で、自由な働き方や高い報酬に魅せられて働いているだけのIFAも一定数いるような気がします。
どの業界もそうですが、この業界でも玉石混交になっているなんだなというのを感じています。

IFA業界の課題について

私は、IFA業界の中で業務委託の契約が中心になっている現状は問題だと思っています。

業務委託をメインにしている業者の採用市場は、IFAへの報酬率を上げないと人材が採れないため過当競争になりつつあり、法人側の収益性が低くなる傾向にあります。これでは企業としてサスティナブルではありませんし、コンプライアンスの強化やバックオフィスの増員、社員への教育にコストを掛けるのが難しくなるため、IFAの質の低下を引き起こし、いずれは業界全体の質の低下へ繋がる可能性があると考えています。

一方で、IFAを正社員として雇うことの効果としては、IFAが起こしたミスは会社の責任になることもあり会社側に責任が生まれ、IFAの質を担保しようという動きが生まれます。また、固定給が発生する代わりにIFAへの報酬率の過当競争から抜け出せるため、それによって経営体力がつき、必要な部分に投資を行うなど自由度のある経営に初めて近付けると思います。そうすることでIFAの質を会社が担保しながら業界全体が発展していく、という流れができると思います。

実は、弊社も設立して一年目は全員業務委託契約での雇用でした。しかし半年くらいでこれではダメだと気づき、すぐに正社員型に切り替えました。その際、「コンプライアンスには違反していないのに、何が悪いのか?」といった反発する声もあったのですが、会社としての理念や指針を統一するためにも正社員型での雇用に切り替えました。

業務委託契約だとあくまでパートナーという関係になるため、事業方針や方向性を浸透させる際に強制力が働かないということも、そのときに身をもって痛感しました。

理想のIFAとは、どのような姿だとお考えですか?

欧米では「医師と弁護士とIFAはなくならない」と言われており、日本でもそうなるべきだと思っています。私たちの仕事は、そのくらい専門性があると自負しているので、逆に言うと、医師や弁護士のように“誰にでもできる仕事ではない”という感覚を持つ必要があると思います。医師や弁護士が人の命や社会の秩序を守っているのと同じように、IFAもお客様からご資産を預かり守っている立場なので、高い倫理観と専門性が必要だという考えです。
もちろんプロフェッショナルに至るまでには多くの知識の習得や経験が必要になるので決して楽な道のりではありませんが、IFAを目指す人にはそのくらい強い気持ちを持って飛び込んできてほしいですね。

Japan Asset Managementの目指している姿とは?

我々は日本の金融業界をリビルドしていく必要があると思っているので、お客様にとって本当に最適な金融サービスを提供するために最高の知識と最高のサービスを提供できる専門家集団になりたいと思っています。

金融サービスを提供する会社としては、ワンストップであらゆる商品を提供することは最低限必要だと思っているので、資産運用についてアドバイスをする際、「トヨタ株とホンダ株のどっちが良いの?」という次元の話ではなく、そもそも「証券と不動産と保険のどれが良いの?」という視点からアドバイスを行い、商品を提供していきたいと思っています。

また、IFAについては一時期メディアで“証券会社よりも優れている”と取り上げられたこともありましたが、当時の“証券会社のノルマや転勤、企業風土などの仕組みと比較すると優れている”というだけでしかありませんでした。最近はIFAの質に関する問題が話題となっているように、IFAであれば優れているわけではないと思います。弊社もIFAビジネスだけを続けるかというとそういうわけではありません。今はIFAビジネスを主軸としていますが、ゆくゆくは金融取引業の免許を取得して、商品を組成できるポジションとなったり、あるいは証券会社を買収することなどもあるかもしれません。

堀江さんの”金融業界を変えていきたいという想い”の原動力についてもう少し詳しくお伺いできますか?

大きく二つありまして、一つ目は、正しい資産運用という選択肢を世の中に広めていきたいという想いです。日本国内でどれだけの人が資産運用をしているかというと、やはり少数なのが現状です。イベントに登壇した際に参加者に聞いてみても、大体2割くらいの人しか資産運用をしていません。しかし日本という国は、資源はなく、製造業も弱くなってきていて、人も働かなくなってきていることを考えると、金融で稼いでいく選択肢しか残らないと思います。つまり、お金を使ってお金を増やす以外にこの国が成長する方法はないのです。そのテコ入れは、本来国がやらなければいけない仕事だと思っているのですが、現状誰も動かない、だったら自分たちがやるしかないよねという想いで、日本の未来を考えたときに我々なりに必要だと思う機能を提供しています。

二つ目は、金融業界の負の側面を見てきたというところから、日本の金融リテラシーを正していきたいという想いです。
日本の個人投資家のポートフォリオを拝見すると、本当に正しい運用をしているという人は非常に少なく、リスクとコストの最適化ができていないケースをよく見ます。具体的には、許容できる範囲以上のリスクを取りすぎている方や、必要以上のコストを支払過ぎている方が散見されます。
リスクとコストに関しては、お客様がご自身で最適化していくのは難しいですし、提案している担当者ですら正しい選択肢を知らないケースもあります。また、お客様ご自身では分散投資をしてリスク分散をしているつもりになっていても、実際は同じような資産クラスを違う銘柄で保有しているだけのケースも多く、本当の意味での分散投資になっていないことが多々あります。本来の分散投資とは、各商品のリスクとリターンを分析し、最適化を図ることです。
我々がサービス提供をすることで、これらの課題を解決していきたいと考えています。

具体的に、どのようなサービスがお客様にとって必要だと思いますか?

お客様の層によって大きく変わります。
まず、いわゆる資産形成層は、オーソドックスな投資信託などの商品が適しているケースが多く、その中で注意すべきポイントなど正しい知識を伝えていくことが必要だと思います。
一方で、富裕層については、保有資産額が大きくなればなるほどニーズや課題は多様化していきます。一般的に販売されている金融商品だけではニーズを満たすことができないこともあるため、数多くの商品ラインナップから最適なポートフォリオの組み合わせなどを専門的な知見を持って提案していくことが必要です。その中で、お客様の要望に応じて我々で商品を組成していくことも必要になると思います。

IFAで新卒採用を行っている企業は他にないと思うのですが、どのようなお考えがあるのですか?

新卒採用を始めるまでは、証券会社で優秀な成績をおさめた人材の採用を積極的に行っていましたが、証券会社時代の成績優秀者が同じようにIFAでも成果が出せるかというと、そうではないケースも多くあることに気づきました。先ほどお話ししたように、IFAにとっては“知識”が非常に重要になってくるのですが、それを習得する努力をしない、意識としてはあるけれど自分に甘えてしまう、というような人も多いのが現実でした。
そうであるならば、経験はないが素直で意欲のある新卒社員の方が長期的にはパフォーマンスを出せるのではないかと考えて、新卒社員の採用を始めました。
新卒社員が入ってくるようになってから会社の雰囲気もとても明るくなりましたし、今では多くの社員が弊社の中枢で活躍してくれています。
私は、新卒採用という選択が今までとった経営判断で一番正しかったと確信しています。

採用において貴社が求める人物像を教えてください。  

まずは嘘をつかないことが一番大事ですね。
面接の時にはその人の行動体験や考えを深く掘る質問をしているのですが、その場で取り繕った回答をするとか、わからないことをわからないと言えない方は、素直さに欠けるため弊社の求める人物像には合わないです。
あとは、先ほどもお話ししたように高い知性・専門知識が求められるので、知識を身に付けることに対して抵抗がない人やその努力を惜しまない人も弊社が求める人物像です。

証券IFAの若手の方にメッセージ 

証券業界は、これから大きな変革の時期を迎えると思っています。テクノロジーの進化が進み、お客様側のリテラシーも向上してくることを鑑みると、本当に価値のある事業者とアドバイザーしか生き残れない時代になってくると思います。
厳しい環境に思えるかもしれませんが、自身の価値を高め続けることができれば、成功のチャンスは大いにあり、その先には様々な可能性が広がっています。ぜひこのタイミングで、そのチャンスに賭けることを選択肢に持って頂ければ嬉しいです。

経歴

株式会社Japan Asset Management 
代表取締役 堀江 智生様
   
慶応義塾大学経済学部卒業。
野村証券入社後、優績者のみが選抜される海外修練制度一期生としてサンフランシスコに派遣。
シリコンバレーでスタートアップの立ち上げを経験し帰国。
2015年度CEO表彰受賞。
2016年野村香港インターナショナルに出向、機関投資家営業業務に従事。