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インタビュー

保険と証券の融合型を目指す、保険系IFAの真意とは

INDEX目次

創業に至った背景を教えてください。

前職のプルデンシャル生命時代にアメリカへ研修に行った際、世界中のIFAが集まっている場で、いろいろ見聞きすると、ビジネスモデルが日本とは全く違うことを知りました。日本では、行政が縦割りになっている結果、金融も全てが縦割りになっています。1996年に金融の垣根を取り除くことを目的として、金融ビッグバンが起きましたが、実際に行われたのは、外国企業に日本の金融市場を開放することでした。つまり、日本国民に対してフェアな金融サービスを提供することにはつながりませんでした。 銀行が保険・証券を取り扱うようになり、IFA的なビジネスを始めましたが、IFA本来の理念である「顧客の購買代理」という考え方には全く立脚していませんでした。つまり、彼らは自らの手数料ビジネスに邁進していたわけです。金融ビジネスという意味では、ど真ん中は間違いなく銀行で、その端に証券が存在し、生命保険はさらにその一番端に存在していると思っています。ところが、購買代理の意味合いで言えば、実は生命保険の営業マンのメンタリティーがお客さまに一番近くなります。プロダクトアウト型ではないコンサルが現場で一部行われていたのは、唯一、生命保険だと思います。そのトップランナーは、僕のいたプルデンシャルでした。儲かる商品をお客さまに押しつけるという考え方とは真逆の考え方で、自らの利益に関係なくお客さまのニーズに合わせた商品を提案していきましょうという考え方を持つ、日本で唯一の会社でした。偶然、私はその会社に就職をしたわけですが、アメリカを見てみると、日本の金融は非常にゆがんでいると感じました。 私が、1991年に保険業界に転じて、5年後に金融ビッグバンが起きました。アメリカのLPLというブローカー業務専門の証券会社が日本に参入してきました。LPLは事業を始めるに当たって代理店を募集しましたが、これが日本の証券仲介業の始まりになります。 プルデンシャルは素晴らしい会社でしたが、私は、1社専属としてお客さまの利益を作っていくことに限界を感じたので、独立して保険と証券の融合型のIFAを始めました。今、日本でIFAとして名を馳せている企業は、保険と証券の融合型ではありません。証券の独立系IFAという意味合いです。ところが、世界のIFAはそうではありません。証券を扱うだけではなく、金融商品全てを扱わないと、お客さまに対してのソリューションは作れないという考えです。 めったに起きない巨大リスクを多くの人たちが少ないお金で負担をすること、これが相互扶助の考え方であり、保険の原点です。めったに起きない巨大リスクに対して自分のお金を全部投入するのは、どう考えても理に適いません。しかし、日本では「保障イコール保険」と国民が思い込んでいます。貯蓄も保障だという考え方がありません。遺された人たちの生活をカバーするのであれば、保険も貯蓄も運用も全て保障です。すなわち、「保険を提供すること」が私たちの仕事ではなく、「保障を提供すること」が私たちの仕事なので、貯蓄や運用、保険が融合した形でないと正しい保障を作ることはできません。これは、世界では常識中の常識です。 本当は、みんな貯蓄をしたいわけです。自分の稼いだお金を少しでも殖やしていきたい、将来のために蓄財をしていきたいと思っていますが、蓄財や運用は時間を味方に付けないとできません。ところが、その間に何かトラブルが発生する可能性もあります。そのために保険が必要になります。何があったとしても家族を守ることができ、何事もなければ自分の将来の蓄財となるものが、自分自身の生活保障になります。そのために、保険と証券を融合させないと正しい保障を作ることはできず、正しいライフプランもできません。ところが、保険会社では「ライフプランイコール保険」と言い切っていて、証券会社ではお金を殖やすことのみが目的になっています。どちらも正しくありません。 保険と証券の融合を目指している会社は、日本ではいまだに出てきません。そこにわれわれは挑戦しているのです。まだビジネスモデルを確立できいるとは言えませんが、正解はわれわれにあると確信しています。

御社のIFA事業について教えてください。

現在、預かり資産は250億ぐらいです。当社では、売り買いを一切させないことが基本理念で、収益は他のIFAと比べてだいたい5分の1ぐらいとなっています。250億の資産を転がせば儲かるかもしれませんが、それはやりません。私たちのやり方は、儲からないけど、やらないといけません。その理由は、それが正しいビジネスだからです。

保険系IFAがなかなか浸透しない理由には何があるとお考えですか?

その理由はシンプルで、圧倒的に保険の手数料が高いことにあります。運用目的の商品を販売するに当たって、保険と投資信託のどちらも販売することができるのであれば、保険商品を販売するバイアスがかかります。保険業界の人が証券に参入しても、あまりにも収益性が低いので、実際に証券は売りません。だから、保険系IFAが一番正しいと思っていても、これをやり切る人たちが現れないのです。

今後、保険の手数料が下がることはないのでしょうか?

今は、手数料が下がる傾向にはなっていません。ところが、下がらざるを得なくなると思っています。手数料が開示されるかどうかがキーになります。イギリスでは、ベストアドバイス義務という法律があるにもかかわらず、ベストアドバイスがされていないので、手数料開示を行いました。その結果、手数料の高いものを売るのは難しくなり、手数料が下がらざるを得なくなりました。日本ではまだ、銀行の一部しか手数料開示がされていませんが、今後開示は広まるはずです。

御社では、高い理想を追い求めているがゆえ課題は少なくないように思いますが、いかがでしょうか?

そうですね。証券の営業マンは、どうしても顧客を転がす傾向にあると思います。保険の営業マンは転がさない人が多いですが、稼ぎに直結しないので運用の勉強をなかなかしないのが現状です。そこで、当社では、保険の営業マンが証券を扱う際には、当社のコールセンターで対応する仕組みに変えています。証券資格を持っていなくても、当社に所属していれば、会社の中で生保・損保・証券の融合型のIFAコンサルがお客さまに提供できる仕組みを構築しています。

IFAの収益スタイルについて、今後どのように変化させていくのがベストなのでしょうか?

証券に関して、預かり残高に対し手数料が1%もらえたら少し状況は変わります。そうでないのであれば、顧客サービスだと思えばいいのではないかと考えています。収益の源泉は、生命保険に求めるのは仕方がないと思います。生命保険の特徴として、長期の信用をつくることは難しい側面があります。なぜかというと、保険は、加入時にコンサルが集中しているからです。一度契約すると、営業マンはその後お客さまに対しての手間はあまり掛かりません。保険の話を聞きたい人が少ない中で、お客さまから「聞きたい!」と言わせることができ、さらに生命保険の価値に納得して契約してもらうのは、相当な能力が必要になります。だからこそ、手数料の高さにフィット感があります。ところが、加入後はお客さまとの接点が減ります。したがって、生命保険というカテゴリーでは、継続的な顧客サービスを提供しにくいのです。 一方、証券では継続的なサービスの提供がしやすいので、お客さまとの信頼の維持をできます。つまり、保険でお客さまの信頼を獲得し、お客さまのニーズの変化に応じた生命保険の再販売のチャンスを作るためにも、証券を扱ったらいいのではないかと思っています。

IFAとして生き残るには、どういうことを意識していけばいいのでしょうか?

証券出身のIFAは、転がしていくしかないかと言うと、そうとは限りません。例えば、証券会社から独立して、お客さまからの預かり資産が15億円ぐらいだったとします。15億円では転がさないと、営業マンは生活を維持できません。ところが、15億円の預かり資産に対し、1%のフィーを得られるのであれば、1,500万円になります。それを目指して証券営業マンが腹をくくれるかどうかです。お客さまに1%くださいと堂々と言えるかどうかですよね。言えるようなコンサルをしているかが重要です。たった1%ですよ。全然難しくないと思います。 そのためには、パフォーマンスを作らないといけません。アクティブでやる人も、パッシブでやる人もいますが、私たちはパッシブがいいと思っています。パッシブなのに1%くださいと言えるかどうかです。100%パッシブとは言いません。7割ぐらいをパッシブで3割ぐらいをアクティブをするのが理想かもしれません。そして、全体の1%をフィーでくださいと堂々とお客さまに言えるかどうかです。そうすれば、お客さまもわれわれもお互いに納得感のあるビジネスになるのではないかと思います。こうしたモデルを実現できたらいいなと考えています。

経歴

株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー
グループ代表 清水 英孝様

RMLグループ代表として生損保代理店、金融商品仲介業、営業コンサルティング会社、人材サービス会社を経営。全国の医師会・歯科医師会(35都道府県)、税理士事務所・会計事務所(約300)との提携により、富裕層を対象としたIFAビジネスを展開。
・日本証券アナリスト協会 プライベートバンカー資格 研修委員
・日本損害保険協会 損保大学課程 研修講師
・MDRT登録連続30回(TOT:4回、COT:2回)
※RML㈱ 資本金:1億8,935万円、 RMLグループ社員数:約140名